普段、自分の派遣契約がどうなっているのかを、じっくり見る事はあまり多くありませんよね。
今回は、あらためて振り返っておきたい、派遣の契約書のチェックポイントをまとめました。
派遣の契約内容 =「就業条件明示書」でチェックしよう
派遣の契約書そのものは、派遣会社と派遣先の会社で結ぶ物ですので、スタッフさんが原本を見る事は普通できません。
ただ、その契約の中身を別の書類にまとめて、派遣開始前に渡されています。
それが「就業条件明示書」です。
どんな事が書かれているかと言いますと、
「業務内容、就業場所、指揮命令者、派遣期間、時間外労働、派遣元責任者、苦情申出先」など、派遣で働く時の条件がずらっと並んでいます。
その中でも、特にここはチェックという注意ポイントを個別に解説。
■ここを確認1. まずは契約期間と、契約解除の条件をチェック
まず真っ先に確認したいのは、やはり「契約期間」です。
派遣会社や求人によって、契約の長さや更新の頻度が違っていたりもします。一般的には3か月ごとか6か月ごとが多めです。
その契約期間が終了する1か月前あたりに、更新をする/しないと決めるのが普通です。
そのため、例えば1月1日から3月末までの契約だった場合は、2月の末ごろには、次の契約更新をする/しない を決めておく必要があるという事ですね。
これは逆も同じで、派遣先が契約更新をしてくれるのかどうか、不安になる事も多いかと思いますが、それは契約終了日の1か月前あたりに、もうすでに結果は出ているという事です。
おおむね終了日の1か月前あたりに何も連絡がなければ、そのまま普通に更新される事が多い、というのが「派遣の契約あるある」かも知れませんね。
■特に重要、「契約解除」について知っておこう
契約期間よりもっと重要なのは、契約の解除です。
途中で解約される場合もある訳ですから、そのルールを知っておくのが大事です。しかし、もっと大事なのは「自分から契約解除をしたい時に、ルールを知っていないと上手く契約終了できない」という点です。
派遣先がいつも素敵な会社ばかりとは限りません。
ややブラック気味な会社に当たってしまって、「もうこれ以上続けるのは無理…」と思った時は、派遣の契約終了日まで待たずに、「契約の途中解除」を申し入れる事ができます。
そんな、途中でやめる時に一体何日前までに伝えなければいけないのか、という日数がここに書かれています。
(たいていの場合は「30日前」と書かれているかと思います)
この日数を無視して、「明日辞めたい」と伝えても、まず通らない話になってしまいます。もしもの時に備えて、派遣を辞める時の手順をしっかり見ておきましょう。
■ここを確認2. 業務内容と就業場所
次にチェックしておきたいのは、業務内容と就業場所です。
業務内容は、とても簡単に1行で書かれている事がほとんどです。例えば、「印刷機器の営業事務 および関連業務」のように、ぼんやりとした書き方がほとんど。
この欄に「見積書作成、請求書作成、受付、電話、メール等」のような、求人に書いてあるほど具体的な事は何も書いていません。
そのため、普段あまりしっかり見ない項目かと思いますが、もしもの時に備えて、この欄と就業場所もチェックしておきましょう。
ある日突然、会社から「ちょっとそっちの部署の仕事も手伝って」と言われて、全然違う部署で違う仕事をさせられた…といったトラブルがあった場合は、この就業条件明示書を見てみましょう。
明らかに仕事内容が違っていたり、働く場所(勤務地)すらそもそも変わっている場合は、明らかに派遣契約に違反している状態ですので、すぐ派遣会社の営業さんに相談です。
■ここを確認3. 意外と役立つ?「指揮命令者」欄
派遣スタッフとして仕事をしていますと、色々な人から色々な仕事を頼まれるかと思います。
中には、AさんとBさんから違った事を言われて、「どっちの言う事を聞けばいいの?」と板挟みになって困る事も。
そんな時は、「指揮命令者」欄に書かれていたのは誰の名前だったかを、あらためて思い出してみましょう。
派遣スタッフに対して、仕事の指示をするのは原則、指揮命令者に設定されている人です。
(多くの場合は、所属している部署の課長クラスの方かと思います)
派遣スタッフの働き方的には、「困ったら指揮命令者の指示に従う」というスタンスで働いていけば、大きなトラブルは避けられます。
また、「自分の上司は誰なのか」を普段からちゃんと意識するという意味でも、指揮命令者の欄を見ておくのは大切かも知れません。
■ここを確認4. 意外と勘違いしがち? 「苦情申出先」欄
就業条件明示書には、苦情申出先という欄があります。
項目の名前だけ見れば、「普段の仕事の文句や苦情はこの人に言えばいいの…?」と思ってしまいがちです。
確かにそういう面もあるのですが、普段の仕事のクレームをこの苦情申出先にぶつけるのはNG。
よくある例としては、「指揮命令者=部署の課長」「派遣元責任者 =部署の部長」「苦情申出先=総務部」といった組み合わせがありがちです。
普段の仕事上の「それは納期的に無理」「仕事多すぎ」「もっと早く言って下さい」といった普段のクレーム(苦情)は、直接の上司とぶつけあいましょう。
この派遣契約書(就業条件明示書)上の苦情申出というのは、契約そのものに関する事や、セクハラ、パワハラといった社会的な問題などを、公式にクレームに出す時に言う場所、というイメージでとらえておけばよいかと思います。
まとめ
普段から意識する事は少ない、派遣の契約内容と就業条件明示書。
契約更新や終了の際には、意外と役立つ書類ですので、捨てずに大切に保管しておき、いざという時のために、一度目を通しておくと良いかもしれません。
どうぞ素敵な派遣先とのご縁がありますように。